服地パイセン

生地にうるさい服屋で学んだことを活かし、洋服のわかりづらいことをわかりやすく解説します。

POLARTEC (ポーラテック)は米軍も認める防寒素材

こんにちは、服地パイセンです。

 

最近はアウトドアトレンドの影響もあり、
カジュアルウェアにも使用されるようになったPOLARTEC (ポーラテック)

ポーラテックのタグ




生地のピスネームもかっこよく、
デザインとして使用されることもしばしばあります。


ところで、
ポーラテックってなに?

 

 

 

 

ポーラテックを簡単に説明


どんな素材か簡単にいうと、

すごく軽くて丈夫で暖かいフリース生地です。

その機能性の高さから
軍物やアウトドアのウェアによく使用されています。

 


なんとなくポーラテックについてざっくり知りたい
という方はここまでの理解で十分だと思います。


ここから先は、
歴史やウンチクの内容になるので、
ご興味があれば是非読んでみてください。

 

ポーラテックとフリース

 

「ポーラテック」を語るうえで「フリース」なしでは語れませんし、
「フリース」について知ろうと思うと「ポーラテック」に行きつきます


「フリース」と「ポーラテック」は切ってもきれない関係にあります。


ポーラテックを説明するために、
まずフリースについて説明します。

 

 

フリースはもともと「羊の毛のかたまり」


アウトドアを除いて、
冬に上着の下に着る暖かい服といえば、ウールのセーターですよね。

 

その素材になるウールを作るには、
まず羊の毛を刈り取るところから始まります。

ボリューミーな毛で覆われた羊の皮膚は奥深いところにあるのですが、
その腹部にバリカンやハサミをあてて、剃っていきます。


このとき、羊の毛はひとの髪のようにバラバラにはならず、
毛が互いに絡みあっています。
まるで一頭の羊が、そのぶ厚い毛皮を脱ぎ捨てたような状態になります。


羊毛の表面は縮れて絡み合っているため、まるで厚みのある一枚の毛皮のような毛の塊が生まれるのです。

 

フリースの質感


え、「フリース」についてなのに羊の毛について語るの?

って思いませんでしたか。


なぜ説明したかというのも、
この刈りとった状態の羊毛を「フリース」と呼ぶです。


「フリース」と聞くと、
ポリエステルのふわふわの生地を連想しますが、もともとは、羊毛だったんですね。


「フリース」は化学繊維が誕生する前から存在したってことなんです。


フリースはもともと天然の羊毛でしたが、技術の進歩とともに化学繊維のポリエステルに代替されていきます。

 

 

ポリエステルのフリース

ポリエステルでつくったフリース「ポーラテック」を
パタゴニア、シエラデザイン、エーグルなどがアウトドアウエアに用いたことからブームが起きました。


それらは空のペットボトルから作られていました。


ペットボトルとポリエステル繊維は原料が同じ。
ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate, PET)を板上にしたものがペットボトル

原材料名からペットと呼ばれます。


糸状にしたものがポリエステル繊維です。


服地業界やアパレル業界では、
この繊維の符号を「Pe」としています。これも同じく原材料名から。


空のペットボトルを再利用できるわけですから、ポリエステルのファブリックの再生利用が可能なわけが分かると思います。

今どきで言うと、サステナブルなわけです。

 

そのポリエステルのフリースの発展に、ポーラテックが大きく関係してきます。

 

ポーラテックってなに?

ポリエステルのフリースについては
ポーラテックについてみていきましょう。

 

ポーラテックの歴史

ポーラテックは米国のボストン郊外で1906年に創業された紡績工場を営む会社。
設立当初はモールデンミルズ社という名前でした。


第二次大戦後にポリエステル繊維の取り扱いを開始、
1950年代にはフェイクファーブームで業績をあげましたが、
1970年代の後半にはブームも去り業績は一気に悪化してしまいました。


そんな時にポーラテック社に素材を求めて来た若者がひとりいました。
後にパタゴニアの創業者となるイヴォン・シュイナードです。

 


モールデンミルズ社はイヴォン・シュイナードとともに、新たなアウトドアに適した素材の開発に着手します。
そして開発されたのが、ポリエステルフリースでした。


当時のアウトドアのアパレルと言えば、コットンやウールが主流。
保温性はあっても毛玉ができやすく、重くて水に弱いという問題が!


しかしポリエステルフリースは、保温性に加えて、軽量性と通気性に優れた素材。
この素材が1981年にパタゴニアのラインナップに登場すると、またたく間に登山者の支持を得てポーラテック社はフリース素材の第一人者となりました。

 


ところで、なぜポーラテック社がフリース素材の第一人者になれたのか。
それはポリエステルの繊維を加工する技術が素晴らしく高かったからだといわれています。

 

ポーラテックの進化


その後も様々な素材を開発し続けているポーラテック社は、
フリースなどのミッドレイヤーだけでなく、
ベースレイヤー(インナー)からアウターシェルまで、
重ね着して使用できる全ての生地を自社で手掛けています


自社で手掛けるということは様々な条件下で自由にテストを行えるということ。


つまり、
重ね着での通気性や軽量性、そして最高の着心地を総合的に考えることができます。


これがポーラテック社の一番の強みだと思っています。

 


さて、ポーラテックという素材には
実際にどのような種類があるのでしょうか。

 

ポーラテックの種類


ポーラテックではスタンダードなタイプのフリースを「ポーラテッククラシック」と呼んでいます。

 


このクラシックシリーズは毛の長さによって、

クラシック・マイクロ

クラシック100

クラシック200

クラシック300と分けられ、
それぞれのフリースの用途に合わせて
使用される素材が使い分けられます。

 

100、200、300、と数字が大きくなるほど暖かいと考えていいと思います。

 

そのほかのちょっとマイナーな素材もみていきましょう。

ポーラテック パワーストレッチ

4方向に伸び縮みし、体を包み込んでくれるような素材。
通気性が良いのも特徴です。
軽くて暖かいだけでなく、皮膚から汗を吸収してドライに保ってくれるので快適に過ごすことができます。
アウトドアのシーンに最適な素材です。

 

ポーラテック ハイロフト

ベロア構造のポリエステルが空気を閉じ込めてくれるので、軽くてかさばらないうえに、抜群に暖かい。


また透湿性にも優れているので、汗抜けが良く体温を一定に保ってくれるので、暖かくなり過ぎることもなく快適な着心地。
雨や雪で濡れた場合でも素早く乾燥してくれます。

ポーラテック パワードライ

生地の内側と外側、両面にことなる編み糸を使用した二重のニット構造を持ち、内側と外側で表面の性質が異なります。


内側は水分を皮膚からすばやく除去し、外側はすばやく乾く、汗をかいても皮膚を常にドライな状態に保ってくれる素材です。

 

ポーラテック サーマルプロ

ふっくらしたフリースは、保温性に優れて、厚手ながら非常に軽い着心地を実現する、サーマルプロ


ポーラテック素材の中で、重さに対する暖かさの比率が最高の素材です。
つまり、最高の暖かさということ。
吸水性は低めなので、洗濯後もすぐに乾いて着用できます。

 

ポーラテック ネオシェル

ソフトシェルの優れた通気性や伸縮性とハードシェルの防水機能が組み合わさった生地です。


高い防水性を備えた素材でありながら、しっかりと通気性を確保しているため、ウェア内を常に快適に保つことが可能になっています。


生地は引き裂き強度に優れた耐久性のある素材。一般的なハードシェルに比べると柔らかな感触で擦れによるノイズが少ないのも特徴です。

 

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